英国車はSedanではなくSaloon、WagonではなくTourer

 他の国の乗用車が「セダン」と呼ばれるのに対し、英国車はどんな小さなクルマでも「サルーン」と呼ばれます。 
ただ目的地により早く移動するだけの道具がクルマであれば、普通にセダンの名称で充分なのです。なお、セダンの語源は米語でいす轎(揺り椅子ですね。)を意味し、椅子が振動で揺すられることを語源としているようです。 
 英国人は居心地の良い談話室「サルーン」を優れた馬車の室内に充てました。移動中における同乗者との語らいを中心とした和める空間を目指してこそ、サルーンと呼べるのです。(ちなみに、ワゴンは同様の理由で英国車ではツアラーです。) 
 運転していて楽しいクルマであることは当然の事ですが、それだけでなく、我が家では子供たちと一緒に、そのサルーンの持ち味を大事にしてきました。人の心と同様に、そんな優しい空間を家族の団らんの場所としてきたのです。まさに馬車時代と何も変わらないクルマと人の関係です。 
 このクルマはそこそこ速く走る事も出来るクルマですが、そんな性能よりも、「心を和ませてくれること」「家の中より快適な家族のための空間」「目立たず控えめなオシャレ」である事が最大の英国車の性能ではないかと思います。 
 世の中が合理化と合理性を追求した結果、夢や心のゆとりが失われているように感じます。 
ある意味、「夢」とは、対応して生きる現実から見れば無意味なものかもしれません。「心のゆとり」は無駄と解釈できるかもしれません。 
しかし、今は「心の時代」と言われています。その「無意味」や「無駄」が人間性の大切な個性の元になっていたようで、機械的に合理的生活をこなすサイボーグにはなれないのです。また現代は、親子関係も希薄になり、離婚も増加し、家族の絆も昔ほど強くはなくなって来ていることから、家族を中心にした志向「家族の時代」という言葉がよく使われるようになりました。 
 皆様には家族を中心とした素晴らしい「無意味」や「無駄」がありますか? 
父親の代から私、更に私の子供たちまで共有できる夢が、我が家の場合、英国車と英国車が作り出す暖かな空間なのです。


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