<はじめに>

 2005年、MGローバー社が崩壊した今、「いつかは乗りたいクルマ」と思っていたローバー75を手に入れるチャンスは、もう残り少なくなっていました。 
 本当は、ついに来日しなかったローバー75の2000ccV6が予定どおり輸入されていたならば、それから5年後くらいに中古で買いたいと思っていたのです。その頃には、10万キロ走行くらいになって天命を終えるであろうローバー400(ローバー75購入直前に乗っていたクルマ)になっていると考えていましたから・・・。 
 しかし、その日は来ず、MGローバー社が100年の歴史に幕を降ろすという予想もしなかった最悪の現実が訪れてしまったのです・・・。 このままでは、「この不遇の名車に乗ることのないまま私は人生を終えてしまうのか・・・」と考えはじめ、今だからこそ、75を所有しなければならないと感じてしまいました。 
 経済的に苦しい中、販売者どころか、製造メーカーがつぶれたクルマをあわてて買うなど、普通だったらあり得ない馬鹿げた行為だろうと思います。 しかし、幼児のころからの憧れだった英国産の量販車が終わってしまった今、その最後にして最高のクルマ「ローバー75」にはどうしても乗りたかったのです。 
 もしかしたら、騙まし討ちのような方法で製造権を取得した中国の自動車メーカーからまがい物のこのクルマのコピーモデルが発売されるかもしれませんが、アジアで一番英国趣味な国は歴史的にも文化的にも日本に違いありません。学校教育でも「蛍の光」等のスコットランド民謡を多く採択し、車製造の文化でも英国車のノックダウン生産にはじまり、右ハンドルの左側通行、ピーターパンを夢見て、シェークスピアやビートルズに傾倒してきたのです。英国への憧れを文化としてきた日本人は、たとえそのクルマの内容が同じものだったとしても、「ROVER」のエンブレム無きその物体はニセモノと感じるでしょう。 
 最後の最高にして本物、不遇の名車・英国車ローバー75をいつまでも記憶に留めたく、そんな気持ちを表すため、このページを作ることにしました。
 クルマを中心としたページとはいえ、構造にも詳しくない私が書ける内容は、私の目にローバー75がどう映っているかだけです。音楽家としての私の感性を支えてくれるローバーという生き物のお話、聞いていただければ幸いです。


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